津波てんでんこ:命を守るための約束

「津波てんでんこ」とは、津波が来たら家族や他人にかまわず、てんでんばらばらに逃げるという教え。三陸地方では昔から「津波起きたら、てんでんこだ」と語り継がれてきました。

一見すると冷たい言葉のように聞こえるけれど、その本質は「自分の命は自分で守る」という防災の基本原則。そして、事前に家族や地域で「災害時はそれぞれ逃げる」と約束しておくことで、迷いや後悔を減らす知恵でもあります。

「釜石の奇跡」に見る実践の力

2011年の東日本大震災では、釜石市の小中学生が「津波てんでんこ」の教えを守り、全員が無事に避難しました。これは奇跡ではなく、日頃の防災教育と訓練の成果。避難の際には、保育園児のベビーカーを押したり、高齢者の手を引いたりと、地域の助け合いも自然に生まれていました。

「てんでんこ」の教えを実践するには、事前の話し合いと、防災グッズの備えが欠かせません。